青な時代
2012年春、多摩美術大学のオルタナティブスペース「アキバタマビ21」にて、 多摩美の先輩でもあるファッションデザイナーspoken words projectと 器と服の展覧会を行いました。
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spoken words projectとSatoko Sai+Tomoko Kuraharaはそれぞれ服と器を作っています。 違うものを作ってはいますが「時間をとじ込める」といった共通のテーマがあります。 僕らが見ている日常に時間が付着しているのは当たり前ですが、その日常もそれに付着した時間もかけがえのない一瞬であるとはあまり思っていないのもまた日常です。 だからある美しい瞬間を、又その見た事によって動いた心象を、様々な技法やモチーフ、色等を使って服や器に染み込ませ定着させるのです。 服や器は人に使われてはじめて完成する、いわばまっさらな状態でアトリエで生まれます。 僕らはそのまっさらな服や器を眺めながら、そこに閉じ込めた時間をまだ見ぬ受け手に受け継いでいただく事に思いを馳せます。 時間の閉じ込められたその服や器に、受け手のこれからの時間を上塗りしていって欲しいと考えます。それらは風に当たり汚れ洗われ、時にはほころびたり破損したりもするでしょう。 それは僕らの作品は鑑賞するものでもあり、酷使するほどの頻度をもって使用するものでもあるからです。 どんどん眺め使うことで、受け手の時間が染み込んでゆく事なのです。 そこには、ある時間を共にする喜びがあるのです。 この、センチメンタルな作者と受け手の関係が「時間を閉じこめる」ことの醍醐味であり、それをするそもそもの理由です。ありがたい。 今回一緒に展示をするにあたって、その閉じこめる時間に名前を付けるとしたわけです。その名前が「青」。 青は寂しくもすがすがしい。始まりであり終わりでもあり。空も青でしょう。その空を風はのたうち、時間を遠方へと運ぶ。冬の朝、夏の夜。 青き火は強き思いを表すも、青春の日々は時間を迷走し、そぼ降る小雨に叶わぬ思いをぽちゃんぽちゃんと反芻します。 その青き時間が僕らの心に宿すのは、悲しみにも挨拶するような、今の東京の僕らの気分なのです、青な時代なのです。 そんな「青な時」をあなたはどう受け止めますか?
spoken words project 飛田正浩
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